ボルトとナットと、パッキンと。六角ネジにこだわる理由
和歌山で理美容ハサミを作っているキクイシザースです。
道具として使いやすく、シンプルで洗練されたハサミを。
そんな気持ちで毎日、ハサミづくりに向き合っています。
その思いは、細部の部品1つ1つにも宿っています。
たとえば、僕たちが作るハサミには欠かせない、要ネジという部品について。
初期モデル以来ずっと、キクイのコバルトシリーズにはシンプルなゆるみ止め六角ナットを採用しています。
「六角ネジといえば、キクイさんよね」
と言われるくらい、ずーっと変わらず使っているネジの形です。
ベアリングやバネなど、様々なネジがありますが・・・
複雑な仕組で部品点数が増えると、狂い(寸法誤差)が生まれやすくもなります。
両刃合わせて厚み6ミリしかないハサミをどうやってゆるみなく留めることが出来るか?
僕たちは、
ネジは部品点数が少なくシンプルに作ったほうが、がたつきが少ない
という考えを基本に、このシンプルなネジ方式を取っています。
ネジやヒットポイントといったパーツは工房修理にお出しいただいた時に新しいものに交換しています。
あくまでもネジは消耗品。
この考えも、ネジを飾らずにシンプルに作るということにつながっています。
ボルトとナットとパッキン。
飾り気がないと思われるかもしれませんが・・・
やっぱり道具として必要なもの、機能的なものを求める作り手でありたいというのが僕たちの思い。
必要最小限の部品で構成されるからこそ、その性能を引き出す職人の腕が問われます。
意外と知らない理美容ハサミのハンドル材料のはなし
和歌山で理美容ハサミを作っているキクイシザースです。
前回の記事で人気のメガネハンドルについて書きましたが…
ハサミのハンドルって、どうやって作られているか知っていますか?
ハンドルはロストワックス工法!
キクイシザースでは、ロストワックス(精密鋳造)という工法で作られたものを使っています。
こちらがハンドル材料のストック。
砂型に溶けた金属を流し込んで、ゆっくり冷やすことで作る「鋳物」を材料としています。
材料の段階では黒っぽい鋳肌を、手作業で鏡面にしていきます。
常に良いハサミを作るためには、こういった材料も国内の技術力の高い協力工場との連携が不可欠。
ロストワックスの良し悪しによって、磨きの手前も仕上がりも変わってきます。
材料も含めオール・メイド・イン・ジャパンのものづくりが結集して、1丁のハサミが出来ています。
ハンドルと刃、別々にストックしているから出来ること
このようにハンドルと刃を別々にストックしているからこそ、細かいオーダーメイドにも対応できます。
ユーザーの好みに合わせてハンドルと刃の組み合わせを選びイチから作るので、長さのバランスも含めカスタマイズすることができます。
僕たちの作るハサミはシンプルな作りですが、ユーザーの使い勝手に合わせた広がりのあるものづくりを心掛けています。
皆さまのこだわりもぜひ、お聞かせください!
先々代が作ったハサミ“K3モデル”のオーダーメイド依頼
和歌山で理美容ハサミを作っているキクイシザースです。
僕たちは60年以上、3代に渡って理美容ハサミ作りを続けてきた会社なのですが、
長く続けていると「昔買ったこのKIKUIの鋏が気に入っているんだよね!」というお客さまも多くいらっしゃいます。
そういったお客さまのご要望にもお応えできるよう、出来る限りではありますが旧モデルの材料も残しています。
先日、工房に持ち込まれたのがこのハサミ。
現代表の祖父が作ったKIKUI K3というモデルで、おそらく40年は昔の逸品です。
「父から受け継いだこのハサミと同じように作って欲しい!」
という美容師さんからのご要望ですが…。
さすがにこれだけ古いハサミだと、ハンドル型が残っていないだけでなく、鋼材も作りも当時から全く違ってしまいます。
ただ単に「似せて作る」のではなく、「現在にあう技術でいかに良いはさみに仕上げるか」と言うことにも意識を払って、こんな形になりました。
ネジの構造や作りが違うので、完全に同じとはいきませんが…
当時のハサミづくりを踏まえながら、今の技術・工法を加えたデザインにできたと思います。
まだ大まかな形が出来たばかりでまだ仕上げ前ですが、お客さまに喜んでもらえるよう、仕上げまで気を抜かずに進めていきます!
キクイシザースのオーダーメイドについて
僕たちの作るハサミはシンプルですが、少し短く/長くといったカスタマイズから、細かい部分のオーダーメイドにも取り組んでいます。
ライン@でもお問合せいただけるので、気軽にご相談ください!
ちなみに、先々代のエピソードもこちらの記事で紹介しています。
はるばる海外からやってきたお客さまの工場見学
和歌山で理美容のハサミを作っているキクイシザースです。
僕たちのものづくりを世界に伝えるべく、2年前には中小機構の支援制度を活用した市場調査、昨年11月にはアメリカでの講演を行いました。
少しずつ海外展開も頑張ってきましたが、そして今回…
アメリカからはるばるお客さまをお迎えすることになりました!
僕たちのような小さなハサミ工場に英語が出来る人はいないので、どうなることかと心配でしたが…
ものづくりに対して興味を持ってもらえ、とても近くで見ていただいたり実際に触れていただいたり。
言葉の壁を超えて、楽しく工場を案内できました。
なにより僕たちが想像していた以上にハサミづくりを楽しんで見てもらえたようで嬉しい限りでした。
クールジャパンというキーワードがありますが、求められるのは現場の底ヂカラ。
日本のものづくりの現場である僕たちは、世界中から
Cool!! Amazing!!
と称賛される技術力をますます高め、ものづくりを頑張って続けていかないといけませんね!
そしてなによりも、現場である小さな会社から世界に向けて発信していく事が大切だと感じました。
海外からの見学の受け入れはとても大変でしたが、その分いい経験になりました!
【ご案内】工場見学、大歓迎です!
もちろん全国の美容師さん理容師さんの工場見学も大歓迎しています。
事前予約いただければご案内いたしますので、0120-959-833またはLINE@までお気軽にご連絡ください。
詳しくは、こちらのリンクをご覧ください!
米国スタイリストのオーダーメイドシザー制作のウラ側
和歌山で美容師さん・理容師さんのハサミを作っているキクイシザースです。
以前ハサミのオーダーメイドの話を記事にしましたが、全国のお客さまからオーダーメイドのご依頼をいただいています。
海を越えたオーダーメイドにも挑戦してます!
過去の記事でも少し写真を出したこちらのシザーはアメリカのお客さまからの依頼。
カタチはシンプルなメガネタイプですが、指リングにわずかなヒネリを加えたり、刃厚を少し薄めにしたり・・・
他にも細かなこだわりが随所にちりばめられた、Kikuiらしい「マニアックな」シザーに仕上がっています。
11月のアメリカ出張のときにハサミ販売業者さんから、
「僕の顧客のスタイリストが、こんなハサミが欲しいと言っているんだけど・・・」
という相談を受けたことがきっかけで、
「じゃあ、やってみよう!」
と話がスタートしました。
僕の向かい側に座っている2人がハサミを売っている業者さん。
カリフォルニアのオレンジカウンティを中心にまわっている親子です。
ココをああして、こうして・・・
聞いていくと本当に細かな要望が次々と出てきて、こちらも「じゃあこうした方がいいんじゃない?」と話が弾んでいきました!
ミーティングのあと、日本とアメリカでメッセージのやり取りを重ねました。
アメリカからもスタイリストの使い方を動画で送ってもらえたので、使い方のイメージが共有でき、加工内容の提案もできました。
やはり言葉の壁があるので大変でしたが・・・
スマホで気軽に画像を送り合うことが出来るのでなんとかなりました!
スタイリストにも売り手にも喜んでもらいました
そんなやりとりの末に、1月初旬にシザーが仕上がりました。
通常より少し時間が掛かってしまいましたが、お客さまを巻き込んで一緒に作ることが出来て、スタイリストからも売り手からも喜んでいただけました。
「細かいオーダーにも対応できるKikuiのものづくりをもっと知りたい!!」
ということで、3月末には販売業者さんがはるばる日本までやってきます。
海外との細かい打合せでやりとりに苦労しましたが、いいハサミを作ることが出来て僕たちの自信にも繋がりました!
オーダーメイドの依頼はコチラをご参考に!
ホームページでも、僕たちKikuiに出来るオーダーメイドの一例を載せています。
載せているのはごく一部の分かりやすい加工例ばかりで、本当はもっと細かいご要望をいただく事も多いのですが…
「こういうハサミを作ってもらいたい」など、皆さんの道具に対するこだわりを気軽にお寄せください!
こだわりをカタチにするKikui Scissors のオーダーメイド
和歌山の理美容シザーメーカー、キクイシザースです。
僕たちのものづくりは作り置きをせず、注文をいただいた商品をイチから作っています。
理容師さん、美容師さん一人ひとりに合わせたこだわりのハサミ造りを心がけています。
オーダーメイドも、いろいろ出来ます
定番商品だけでなく、日々さまざまなカスタマイズの注文もいただきます。
例えば、ハンドルの指穴サイズを変更してほしいというオーダー。
リングを切って、サイズを合わせて、溶接して・・・。
このあと形を整えて磨いていけば、継ぎ目が分からなくなります。
こちらは、いま加工しているアメリカからいただいた指穴サイズ加工のオーダーなのですが・・・。
日本人に比べて指が大きく、思ったよりも拡げる必要があって大変でした。
こちらの一見シンプルな1丁もアメリカからのオーダーメイド。
指リングの加工やちょっとした厚みの改造など、かなり細かな要望が盛り沢山でした。
海外との打ち合わせなので少し加工しては写真をメールで送って確認してもらって・・・
ユーザーからも動画で「こういう使い方がしやすいように作って!」と意見をもらって・・・
という大変な注文でしたが、完成後はとても気に入ってもらえてホッとしました。
(この1丁は思い出深いカスタマイズだったので、またの機会に詳しく紹介します)
オーダーメイドはお客様との打ち合わせが大切
イチから作っているので加工そのものはいろいろできますが、大切なのがお客さまとの打ち合わせ。
僕たち作り手はお客さまとの連絡手段が電話やメール、場合によっては販売店を仲介してのやり取りに限られます。
会って打ち合わせが出来ない場合でも、
どういうところに困っているのか?
なぜそのカスタマイズをしたいのか?
他に解決できる提案はないか?
といったところをきっちりとヒアリングすることを心がけています。
逆にお客さまには、
僕たちがどういうハサミづくりをしているメーカーで、どういったことが出来るのか?
という事についても、出来る限りご理解いただけるように努めています。
今後、ブログでもオーダーメイドを実例でご紹介していければと思っています。
こういうハサミを作ってみたい、メーカーに話を聞いてみたいという事があれば、相談だけでも気軽にライン@またはお問合せフォームからお寄せください。
【1分間で工房見学!】ハサミ作りの現場をお見せします
和歌山で理美容のハサミを作っている小さな会社、キクイシザースです。
理容師さん、美容師さんにとっては欠かせないこの道具ですが、その製造現場となると業界の方でも知らないという方がほとんどではないでしょうか…?
ましてや美容業界の外の方と話をすると、「そんな仕事があったんだ!!」と驚かれる事もしばしば。
もっと私達のものづくりを知ってほしい!
そこで、ハサミが出来るまでを1分間の動画にまとめました!
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